■セッショントレーラー
 
五月。ファイフ・ミリティアの敵はビアン・リオルコノだけではない。
東から攻め立てるグレズのメタビースト軍団。
圧倒的物量でもって進軍してくるグレズに対し、
ファイフもまたMTアルマを戦線に投入し続けていた。
王国上層部は、この戦線を覆すための決戦兵器を欲していた。
そう、単独で戦局を左右する騎士級MTのような兵器を。
かねてより、ネフィリムによって開発されていたMAフッケバインが完成した。
それは早速、技術試験部隊へと送られデータを取ることに成る。
 
かつて、自由に羽ばたいた空。
その鴉にとって、今や遠き世界であった。
新たな翼を手に入れた鴉は、今再び羽ばたく。
片方の翼は失ったまま、もう片方の翼だけで。
 
異界戦記カオスフレア外伝
MT IGLOO
第三話「隻羽の鴉は明空に還った」
 
――山々聳える天空に、鴉が啼く。


■シナリオハンドアウト
 
PC1
シナリオパス:空への憧れ 
 
ついに、来るべきときが来た。
MAフッケバインは事実上完成し、あとはフライトテストを控えるのみとなった。
キミは再び、空へと還るのだ。
タックスマンからの辞令を受け、ムスペルヘイムへと着任した。
 
 
PC2
シナリオパス:フッケバインへの悲しみ
 
キミがフッケバインのデータを参照したときに感じたことはひとつ。
無茶だ。こんな機体を、一体誰が乗りこなせるというのだろう。
過剰な大出力ロケットによる飛行など、並大抵の腕では離陸すらままなるまい。
この機体を作ったPC1という人物は、一体何を考えているのだろう。
 
 
PC3
シナリオパス:任務への恐怖
 
キミたち技術試験艦ムスペルヘイムにファイフから下された命令は、非常に危険なものだった。
対グレズの東部戦線において、MAフッケバインの実戦テストをするというのだ。
まだロクなデータも取れていないどころか、実際に飛ぶのかどうかもわからない機体を載せて、最前線へと送られる。
自分達は後方支援を主とする試験部隊ではなかったのか……。自分達の本分は、いったいなんなのだろうか。
 
 
PC4
シナリオパス:ゲイルへの親友
 
かつて、PC1は空のエースパイロットだった。
だが、彼は片腕を失い、パイロット生命を失った。
キミは友人として、そしてコーポレイトとして、可能な限りの援助を彼に行なった。
ついに、彼は閑職扱いだったMA開発室で、本当にMAを完成させたのだった。
彼は再び、空に舞い戻るだろう。
 
 
■オープニングフェイズ
●シーン1
シーンプレイヤー:PC1
 
東部グレズ戦線。
グラーヴェ山脈の上空で、NSS航空部隊と鳥型メタビーストの軍団がドッグファイトを繰り広げている。
キミもエースパイロットとして、その一翼を担っていた。
PC1が駆るのは、戦闘機形態に変形できるタイプのアルマ。
現在、キミがドッグファイトを仕掛けているのは、メタビースト軍団を統率するメタロード・ロック。
その名のとおり、ロック鳥をモデルとした巨大なメタバードだ。
ボディ各所から、鳥型メタビーストを射出する空飛ぶ移動要塞である。
【NSSパイロット】「数が多すぎる! うわー、だめだーっ!」
【NSSパイロット2】「ジーザス! 家に帰りゃウサミミの嫁さんが可愛いベイビーを産んでる頃だってのに!」
次々に撃墜されていく航空部隊。
怪鳥……メタロード・ロックはキミのことなどまるで意に介さぬというように、翼を広げたまま滑空している。



しかし、無限とも思える発射口も潰され、修理も間に合わず……戦線はNSSに傾き始める。
そして、ロックの頭頂部へとたどり着き――最後のミサイルを叩き込もうとした、そのとき。
HUD上を埋め尽くすレッドアラート。
唐突に操っていたテスト機は機能不全に陥った。
その隙を、ロックは見逃しはしなかった。
頭頂部に展開された対空砲火の群れが、アルマの尾翼をとらえた。
炎を吹き煙をあげる機体は、あっという間に高度を下げていく。
まだ動いていた左後輩部のバーニアの推力をあげ、グレズの攻撃をかわそうとした。
だが、間に合わなかった。白光が視界をうめつくす。


●シーン2
シーンプレイヤー:PC4
 
ニューマンハッタン、天国の階段の支社長の部屋。
ジョージ・タックスマンは、PC4。キミを呼び出した。
【タックスマン】「ふぅ〜、5月ともなるとだいぶ熱くなってきたねぇ、キミぃ」
【タックスマン】「まあいい、空調は後にしてだ。実はキミが出向している技術試験隊があるじゃまいか」
【タックスマン】「今度の機体は、例の……キミが出資していたMA開発室のモノが送られるとのことだ」
キミは思い出す。MA開発室はキミの親友PC1が室長をしている部署。しかし、閑職だ。
グラーヴェでの戦いで、PC1は命と引き換えに利き腕を失ったのである。
以来、彼は片腕でも動かせる機体を作ると意気込んでいたのだが……。

【タックスマン】「ああ、まあなんというかねぇ。一応、完成したということなのだよ」
【タックスマン】「それで、我が社がキミを出向させているということもあってね、ファイツのムスペルヘイムで試験しようという段になったわけだな」

彼は。帰ってくるのだ。空へと


●シーン3
シーンプレイヤー:PC2
 
現在、ムスペルヘイムの格納庫には、たった一機しか搭載されていない。
正確には、その一機が巨大過ぎて他の機体が入らないのだ。
スペースをぎりぎりにして、尚はみ出るほどの機体だ。
モナドアーマー・フッケバイン。
漆黒の鴉をイメージしているようだが、どちらかというとイメージはドン亀だ。
今のところ参照したデータだけでも、とても人間が扱いきれる兵器とは思えなかった。
確かに、出力数値からして、これだけの機体も揚力を得れば空を飛ぶことはできるだろう。
だが、緻密な操縦はとてもじゃないが不可能だ。
【整備員】「また凄いもんがきましたねえ」
いったい、どんなパイロットが乗るというのだろうか?



●シーン4
シーンプレイヤー:PC3
 
ファイフ司令部から通達がやってきた。
グラーヴェ山脈。グレズ東部戦線に赴き、MAフッケバインのテストを行えという内容だった。
キミが見た印象では、どうしてもあのドン亀が空を飛ぶとは思えない。
【副長】「いよいよ、我々も年貢の納め時なんでしょうかね。艦長」
【副長】「パイロット、まだ到着していないみたいですよ。間に合うんですかね」
【副長】「ほら、前に話していたでしょう。ムスペルヘイムが沈む前に、格納庫にある爆薬を全部打ち上げるって」
【副長】「……実のところ、最近ノイローゼ気味でしてね」




■ミドルフェイズ
●シーン5
シーンプレイヤー:PC1
登場難易度:8
 
格納庫にランチが発着する。

PC間の合流のシーンなので、必要を感じないかぎりGMは介入しないので、会話をどうぞ。



●シーン6
シーンプレイヤー:PC4
PC1は自動登場
登場難易度:20
 
舞台は任意で。艦内です
昔の話とかをして、親睦を深めるシーンとなります。




●シーン7
シーンプレイヤー:PC3
登場難易度:8
 
PC2は自動登場
 
ルフィアがアルフに同伴して、格納庫でフッケバインに火を入れる作業をしているところです。
【通信兵】「艦長。NSSの輸送機が接近しています。本艦に積み込みたい人員がいるとか」
【通信兵】「いや、それが……どうも、こっちの言うことと食い違いが多くて。一度接触して艦長に直接聞いていただきたいです」

では、PC2は情報収集判定を。財産点、アイテム、何を使ってもいい

○フッケバインについて 難易度20
では、設計図と実際の機体構成に食い違いが多いことに気づくかな。
だいぶ、PC1の手が入ってるっぽい。
例えば、本来は補給物資を入れるペイロードに火薬を満載したり、エンジン直結のロケットブースターをつけたり
ほとんど、ハンドメイドです。実際の設計図はゲイルの頭の中にあるのでしょう。
これを全部、今の機体どおりの設計図に起こすのはかなり骨のある作業ですね。
だから、何か問題があるかどうかは、実際に飛ばしてみるまで何とも言えません。
ゲイルの言ってたシステムが本当に搭載されているかどうかすら怪しい
【アルフ】「……実験機とはいえ、これは……」

さて、そこに輸送機が来ますよ。
中からは、NSS空軍上がりと思われるパイロットと思しき男が、ルフィアを認めると敬礼をする。

【男】「パドック・レモンサワー少尉、着任いたします!」
【レモンサワー】「ヒューっ♪ でっかいですねぇ、こいつ。フッケバインとか言いましたっけ!」
レモンサワーは、挨拶は終わったとばかりにフッケバインに駆け上り、その上で叫ぶ。
【レモンサワー】「イーヤッホーゥ!」
【レモンサワー】「オレの事を知らない? オレは模擬戦200回無敗のスペシャルパイロットなんだよ」
【レモンサワー】「そいつはおかしいなあ。まあ、そんなことはどうでもいいっすよ。はいこれ、オレの着任の書類っす」

そこには、こう書いてある。
レモンサワーの名前の隣に
フッケバイン テストパイロット
と。
少なくとも、PC3にはそれが正式な軍の書類とわかります。ファイフ・ミリティアとNSSの印が押されている。
そして、そういえばPC1がそういった書類を持ち寄ってきてないことに


*ここで登場する「レモンサワー」なるNPCは、その後、第六話のPC1として採用された。


●シーン8
シーンプレイヤー:PC2
登場難易度:8
 
ブリッジ。
見渡す限り山脈が連なっている
グラーヴェ山脈の東部戦線到着まで、あとわずかだ。
【通信兵】「か、艦長!」
アラートが鳴る。
【通信兵】「グ、グレズが現れました。メタビースト飛行タイプ、その数、無限近く!」
【通信兵】「いえ、ここはまだ東部戦線ではありません。……やつらが、侵攻を再開した模様!」
【通信兵】「東と南から……包囲されます!」
【通信兵】「……ま、待ってください。多すぎて……コンピューターの推測によると、おおよそ5億!」

 PC1が出撃を決意したらシーンエンド。

■クライマックス
シーンプレイヤー:PC1
登場難易度;全員登場

(メタロード・ロック、メタバード×100)(フッケバイン)(ムスペルヘイム(全員同乗))


■基本データ
【コロナ】 ダスクフレア
【ミーム】 グレズ/
【ブランチ】マシンライフ/
【消費経験点】91(能力値:0 特技:0 装備:91 パスの追加:0 ブランチの追加:0)
 
■能力値/耐久力
【能力値】    肉体:7  技術:26  魔術:4  社会:3  根源:1
【戦闘値元値】  白兵:10  射撃:11  回避:5  心魂:10  行動:8
【戦闘値修正値】 白兵:10  射撃:11  回避:5  心魂:10  行動:8
【HP】     元値:233  修正値:413/25
【LP】     元値:10  修正値:970/1050
■宿命/特徴/闘争/邂逅
 宿命:  特徴:  特徴効果:
 闘争:  邂逅:
 
■準備された装備
 部位:名称(必要能力/行動修正/ダメージ/HP修正/射程/備考/参照P)
 右手 :               (必:―/行:―/ダ:―/HP:―/射:―/―/―)
 左手 :               (必:―/行:―/ダ:―/HP:―/射:―/―/―)
 胴部 :エターナルアーマー      (必:【技】4/行:0/ダ:―/HP:60/射:-/―/CT)
 その他:複合金属装甲         (必:【技】12/行:0/ダ:―/HP:40/射:-/―/RR)
 乗り物:水中用メタビースト      (必:【魔】4/行:0/ダ:―/HP:80/射:-/[パットフット][グレズ]専用。[水中]にならない/NV)
 
■特技
▼コロナ
【ダス】[CF182]□暗黒の太陽        自/常/なし:根源以外の防御属性を得る
【ダス】[CF182]□夕闇の波動        自/常/なし:判定ダイスを[Lv+3]D6 5Lv
【ダス】[CF182]□歪んだ時空        自/オ/20H:バッドステータスを1つ解除
【ダス】[CF182]□輝く闇          自/常/なし:HP0時、根源以外のダメージを1/10にする
【ダス】[IJ060]■絶望の一撃        自/オ/なし:〔SinLv〕Lv2倍換算。[達成値]+50
【エネ】[CF181]鬼神の技          自/常/なし:[白兵攻撃][射撃攻撃]のダメージが常に+[差分値]される
《飛行能力》《召喚》
《黙示録の声》100 100点
《HP+200》4点
《LP+960》16点
 
合計126点
 
▼ミーム
【グレ/マシ】[RR029]フォートレスフォーム 自/常/なし:要塞形態。常備化した乗り物ひとつの[HP修正]倍
                            :部位:「片手」「両手」装備の効果を受けられない
【グレ/マシ】[CF107]完全調和世界     自/セ/なし:[5×5]以下の【HP】を消費し、同じだけ対象の【HP】にダメージを与える
【グレ/マシ】[CF106]※インベイションセル 自/ダ/なし:〔Sin3〕受けた[白兵攻撃]のダメージの半分を攻撃者にも与える
【グレ/マシ】[CF107]※光の檻       射/メ/10H:[【技】×2+2D]ダメージの[射撃攻撃]を行う
【グレ/マシ】[IJ053]グラビティフォールト 自/マ/5H:メインプロセスの[白兵攻撃][射撃攻撃]の[達成値]+【技】
【グレ/マシ】[RR029]コールドタイマー   自/ダ/フ3:〔Sce1〕ダメージロール直後に宣言。ダメージを[【技】×4]軽減
【グレ/マシ】[CF109]リフレクトシールド  射/リ/3H:[射撃攻撃]に対して[突き返し]を行う。ダメージは[【技】×2+1D6]
【グレ/マシ】[RR029]リフレクトウォール  自/オ/フ1:[メインプロセス]の間《リフレクトシールド》を[白兵攻撃]にも使用できる
【グレ/マシ】[CF107]アーマーセル     自/常/なし:[防:肉][防:社]を得る
 
 
■装備
【グレ】[RR029]複合金属装甲          - /10 [HP:+40]
【グレ】[CT059]エターナルアーマー       - /20 [HP:+60]
【グレ】[CT059]グレズクリスタル        - /50 [グレズ]の特技or装備によるダメージ+[【技】×2]
【防具】[NV001]水中用メタビースト       45/20 [HP:+80][パットフット][グレズ]専用。[水中]にならない
 
 
 
■属性防御
 肉体:○ 技術:× 魔術:× 社会:○



■エンディング

全てのグレズがビームに貫かれ、クロウに切り裂かれ、バルカンに撃ち抜かれ、巨体に跳ね飛ばされ、落ちていった。
フッケバインは凶鳥の名に相応しい戦果を挙げて見せた。

ミシッ…ガッガガガガッ!
異常な振動が機体全体に広がる。
【CIC】「この異音・・・何?」
それは唐突に起こった。
フッケバインのあまりに高すぎる推力は重装甲を持って初めて成り立つものだった。
だが、今はその装甲はパージしてしまったため、存在しない。
結果、フッケバインは自壊を始めていた。
幾多ものグレズを引き裂いたクローが脱落していく。
巨大グレズを打ち据えた可動式格闘戦用バルカンが慣性に弾き飛ばされていく。
空気力学を考慮し、大口径粒子砲を覆っていたカバーもひしゃげ、やがて千切れ飛んだ。
【通信士】「フ、フッケバインが!」

視線は砕けたキャノピーからのぞく空。
だが、そこから飛び込んだ破片が左の脇腹に刺さっていた。
ぼやけた視線が脱出装置へと移る。
脱出する?一体どこへ?
大体……
隻腕で操作するためのサポートシステムを積むために真っ先に外されたのがそれだった。
崩壊を続けるフッケバインは機首をあげ、天を目指すが如く急上昇を始める。

モナドドライブの異常共振なのか、まるで……そう、まるで鳥の鳴き声のような奇妙な音を立てながらフッケバインは飛翔し、そして―――爆散した。
 
グラーヴェ山脈は既に、日が傾いていた。
鴉は鳴いた。空へ還れたと。


●シーン9
シーンプレイヤー:PC4
 
 ある種の鳥は、狩人に撃たれ、死んでも。
 それに気付かずに羽ばたき続けるのだという。
 キミの親友も。きっと。
 何処までも。何処までも……。


●シーン10
シーンプレイヤー:PC2
 
キミはこの度、技術中尉として試験報告を書いているを。
図らずしも遭遇してしまった、この流星のごとき幻をどう評価すればいいのか………
   
 

 

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